ラオスは1975年の社会主義政権の樹立以来、正式にはラオス人民民主共和国(Lao.P.D.R)と呼びます。東南アジアに位置し、周辺5カ国(中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム)と国境を接する内陸国です。日ラオ間の行き来がまだ少ない事や、ラオスの情報が少ないこともあり、日本人にはあまりなじみのない国かもしれませんが、ラオスにとっては日本は最大の援助国なのです。ラオス紙幣に日本のODAで作られた橋がデザインされていることでもわかるように、ラオスの首都ビエンチャンに行くと、市内を走るバス、病院、国立大学施設などあちこちで日本の援助を見る事が出来ます。ラオス人にとっての日本は生活とは切り離す事ので無い存在であることは確かです。よって大変、親日的な国でもあります。
 
ラオスは多民族国家で、独自の言語を持っている少数民族も多いのですが、そのなかでラオス語は公用語として使用され、現在学校教育もラオス語で行なわれています。しかし、首都ビエンチャンを出ると北部・南部ともに方言が強く、ラオス語の特徴として声調によって意味が全く異なる意味を持つ場合がある為、ラオス人同志でも、たまに通じにくい事があります。ビエンチャンで話される発音もビエンチャン方言として解釈されていましたが、テレビ・ラジオではビエンチャン方言を使って放送をしますので、実際は標準語としての役割を果たしているのが現状です。
 
ラオス語(文字)について
ラオス語はタイ・カダイ語族に族します。27の子音(但しその中の一つは主に外来語表記に使用)、28の母音(末子音がつくことで変形するものを入れると33)、また4の声調記号があり、基本的には子音+母音で一つの音をなし、これに末子音と声調記号をいろんなパターンで組み合わせることにより、単語ができます。例としてあげてみましょう。
 
ラオス語(発音)について
発音は、まず子音の有気音・無気音、声調、末子音をよく理解しておかないと伝わらないうえ、母音も日本語には無い音が多いので、常に意識しながら発音しないと簡単な単語でも誤解が生じる事が多々あります。母音には長母音、短母音もありますが、これを意識しすぎるとラオス語らしいリズムを崩す場合があります。子音には高子音・低子音・中子音があります。音としてはドミソの音階に分けられ、子音や声調記号の組み合わせでその中を上がったり下がったりまっすぐ伸ばしたりすると覚えれば、初心者の方でもイメージしやすいと思います。
 
ヒアリングについても日本人にとっては容易ではありません。日本語に慣れた耳は、今までに経験の無い音を拾うわけですから、慣れるまでにかなりの時間を要します。一番の難関は末子音でしょう。文章になるとそれぞれの単語を流すように喋るので、この末子音を正確に拾えるかどうかが曲者になってきます。末子音は音節の最後尾にくる子音を言いますが、発音する際、音ははっきり出しません。つまり末子音は単語を発音し終わる際の口の形や舌の位置、息の出し方を指示する役割を持っているのです。日本語では「ん」はそれに近い発音をすれば全て「ん」に類別されますが、ラオス語の場合厳密に「ng」「m」「n」に区別されます。例の通り発音して、「ん」を発音する際の舌の位置を確認すると、違いがはっきりします。
 
ラオス語(文法)について
「私は学校に行きます」は、SVO形に私(kho:y)、行く(pay)、学校(ho:ng hi:an) という順番になります。特徴として、未来形、過去形は特に口語表現の場合、文法通りに使われることは少なく、明日・昨日などの時制を表す単語を加えるだけで、その後の文は現在形のままでも伝わります。
はい・いいえを訊ねる疑問形の場合、肯定文+bo? で疑問形になりますが、その場合の答えとして、ほとんどの場合、肯定文内の動詞を用いて回答することになります。
 
例えば
Jao kin khao bo?    Kin / bo kin
あなたはご飯を食べますか? 食べます/ 食べません。
このように、疑問文にあったkin(食べる)という動詞を用いて回答します。
 
ラオス人はタイ語が得意?
ラオス語はタイ語と非常に似ています。タイの東北地方(イサーン)は昔のラオス領土であったこともあり、今でもイサーンではラオス語と同じ発音、同じ単語を使って話しているのが年配の人に特に見られます。また、ラオスではタイ国境から離れている地域でもタイの放送を受信できますので、ラオス国営放送の内容が充実性・娯楽性に欠けるという理由から、人々は好んでタイのテレビ放送を見ます。そして、市場ではタイのポップス、演歌(ルックトゥン)、タイ語の洋画のコピーVCDが溢れており、価格がラオスのVCDよりもはるかに安い事も手伝って、人々の生活にはタイ語がどんどん入ってきています。そして、ティーンネージャーなど若者の間では、タイ語っぽい発音をちょっと入れて喋るのがおしゃれ、といった感覚もみられるようです。しかしタイ語を聞けても、読み書きが充分に出来るレベルの人は一部に限られます。ラオス語とタイ語は非常に似ているとはいえ、タイ文字はラオス人でも勉強しないと読み書きは難しいのです。