タイ語は、シナ・チベット語族(世界の4分の1の話者を持つ)のチベット・ビルマ語派、ミャオ・タイ語派、シナ・タイ語派(漢語とタイ諸語)のうちタイ諸語に属する言語で、文法上は孤立語に分類され、5つの声調を持ちます。

平声:普通の高さで平らに発音する。
 
低声:低い高さで平らに発音する。
 
下声:高いところから下がりながら発音する。
 
高声:高いところからさらに少し上げて発音する。
 
上声:低いところから上がりながら発音する。
 
Brief Insight
広義ではラオス語も含み、中国、ミャンマー、ベトナムにすむタイ系諸民族とタイ・ラオス国内の華僑や少数民族、タイ南部のマレー系民族にもタイ語話者が存在します。外来語はタイ語の語彙の総数の3分の2を占有し、サンスクリット語・パーリ語からの借用語が多く、英語、クメール語、モン語、ミャンマー語、中国語(南方方言)、マレー語、日本語からの借用語も多数有します。狭義のタイ語はタイ国の国語の意として用いられます。
 
Thai Characters
タイ文字は南インド系の文字を用い、クメール文字(カンボジア文字)の影響を受けて、13世紀末にラムカムヘン王によって、クメール文字(カンボジア文字)を範として作られた文字です。これは東南アジアがかつてインドの影響を受け、その宗教や文字などの文化を受け入れたためです。
タイ文字は、44(そのうち2つは現在廃字)の子音文字、32の母音記号、そして4つの声調符号その他からなりたっており、音節文字で、子音文字の上下左右に母音記号が取り囲んで音節が構成されます。子音字は、中子音、高子音、低子音の3つに分類され、それぞれに4種の声調記号などが付き、それぞれの規則に従って発音されます。発音や声調の法則は、一見複雑に見えますが、実はかなり体系的に出来上がっているので、「声調の計算」に馴れてくればスラスラと読めるようになります。
 
Grammar
タイ語の基本語順は、主語、動詞、目的語のSVO型で、文法は修飾語が後置修飾になる以外は中国語と非常によく似た性格を持っています。ヨーロッパ系言語のように名詞の性、数、格の区別や、動詞の活用、時制の対立はありません。形容詞と動詞の違いが曖昧でどちらも他の語を伴わずに助動詞を伴うことができ、他の語を伴わずに名詞を修飾する事ができます。また、動詞・形容詞は他の語を伴うことがありますが、基本的にはそのまま名詞として扱うことができます。また名詞も修飾語として、他の語を伴うこともあるが、基本的にはそのまま利用できます。語順に従い単語を並べるだけで通じるので、簡単に会話できるようになります(ただし、発音の難しさはありますが)。
 
Dialects
タイの方言には、バンコク語、南タイ語、北タイ語(チェンマイ語)、東北語(イサーン語)、クメール語などがあり、また、華僑の話すタイ語、王語、僧語が存在します。東北語は、ラオス語に近い言葉で、バンコクでも東北出身者は多いので同郷者同士で方言を話す姿をよく見かけます。筆者はラオス語を勉強するようになってから、東北語を聞いて理解できるようになりました。タイは周辺のラオス、ミャンマー、カンボジア、マレーシアと地続きで、古くから人の行き来が比較的自由だったので、言葉の多様性に富んでおります。バンコクで話される現代タイ語に慣れた方は、少し離れた地方や周辺国家を視野にいれてみると、また新鮮なタイの個性が見えてくるのではないでしょうか。
 
 
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